9月1日は防災の日でした。大正12年9月1日は、関東大震災発生の日です。川崎市の歴史は、この震災からの復興とともに始まったのでした。また、かつての川崎の歴史には、度重なる多摩川の氾濫との闘いの歴史も刻まれています。
今年の夏は、特に、局地的な豪雨が各地で相次ぎ、8月19日から20日にかけての大雨によって広島では大規模な土砂災害等が発生し、多くの死者、行方不明者など大きな被害を蒙りました。亡くなられた方のご冥福と、被災者の皆さんの一日も早い復旧・復興を祈念してやみません。
ここ数年は、50年、100年に一度といわれるような自然災害がたびたび起きるようになってきているように思います。大雨についても、局所的で猛烈な雨が降り、「ゲリラ豪雨」と呼ばれてきています。しかし、広島の土砂災害、土石流の映像を見ていて、ゲリラどころではなく、それこそ怪物が街を飲み込んだような錯覚を覚えました。まさに、「モンスター豪雨」と呼んだ方がイメージに合うように感じました。
日本が世界有数の自然災害の国であることは、皆さんも「知識」としてはご存知だと思います。地震発生による甚大な被害は、関東大震災、阪神・淡路大震災、東日本大震災で目の当たりにしてきています。将来に向けても、マグニチュード7クラスの首都直下地震の発生する確立は、30年以内に70%と予測されています。
災害対策には、ハード整備など「公助」が必要であることはもちろんのことです。しかし、予測を超えて突然に、異様な勢いで襲ってくる災害に対しては、ハード整備をまっていたのでは、自分たちの生命を守ることはできないでしょう、今こそ、私たちの災害に対する「意識」と「行動」を変えなければなりません。
東日本大震災の時、東北地方に伝わる「津波てんでんこ」という教訓のおかげで、津波から逃れることができたという話を聞いたことがあります。これは、大きな地震を感じたら津波が来るから、「てんでんこ=各自」でばらばらになっても高台に逃げて自分の生命を守るように、という先人からの教えだといいます。
もちろん、集団での組織的な避難が有効な場合もあります。
ここで強く言いたいのは、「各自が自分の生命を自分が守るのだ!」という意識への転換なのです。「誰かが指示をしてくれるだろう」「言われてから動けばいい」というような意識と行動では、昨今のような「モンスター災害」には太刀打ちできないということなのです。
災害に立ち向かう意識や行動に関しても、日頃からの「備え」が重要なことは変わりはありません。
ご自分の住んでいる地域の安全を確認してみてください。例えば、土砂災害の危険が予測されている地域には、「土砂災害ハザードマップ」を作成してあります。ホームページでも確認できますし、地図も差し上げています。この「ハザードマップ」には、警戒区域の指定状況だけでなく、避難に関する情報も盛り込んであります。分からないことは、市役所に問い合わせてみてください。
決して不安をあおるつもりはありませんが、地震も風水害なども、どこか遠いところの出来事とか、「喉もと過ぎれば」といった感覚を抱いている人が少ないことは事実です。
「災害は忘れた頃にやってくる!」、「モンスター災害が、明日、襲ってきても不思議はない!」と、市民の皆さんの生命を第一と思えばこそ、危機を訴えておきたいのです。