昨年(2014年)11月15日のベトナムを皮切りに、さらに21日までの間、ラオス、タイを歴訪し経済ミッションを展開してきました。今回のミッションは、山田長満川崎商工会議所会頭と私が団長を務め、市内の大企業や中小企業経営者を含む総勢42名の大規模なものとなりました。
今回訪問したタイやラオスは、東南アジアのメコン・デルタにおいても、経済発展の活力が著しい国々の中心といってもいいでしょう。例えば、ラオスはここ10年あまりの間、経済成長率は6%から8%の高水準を続けていますし、購買力も右肩上がりで上昇を続けています。
川崎市との経済交流を見ると、タイには既に川崎市内企業が約20社進出しており、2014年に大手銀行であるカシコン銀行とも企業進出のための覚書を締結し、新たに現地でのサポート拠点として「川崎中小企業バンコク合同事務所」を開設しています。ラオスとの間でも、2012年に川崎商工会議所がラオス商工会議所との経済交流のための覚書を結んでいます。
このように、これまでの経済交流の礎の上に、今回のミッションでは、さらに緊密な連携関係を築くことができました。「タイ工業省と川崎市の中小企業連携促進に関する覚書」「ラオス計画投資省と川崎市の投資促進及び支援を目的とする相互協力に関する覚書」など、次なる経済連携のための具体的なスタートを切ることができたといえます。
さまざまな業種の市内企業の皆さんとご一緒した今回のミッションでは、多くの出会いがありましたが、その中から2つの企業のお話をご紹介したいと思います。
1つ目は、既にタイに進出している市内の電気自動車のベンチャー企業が、現地の大手自動車メーカーと共同企画によって、新たな電気自動車のコンパクトカーの「世界スタンダード(標準規格)」を作り出そうとしていることでした。このコンパクト電気自動車によって、ASEAN諸国に打って出ようとしているのです。まさに、新たな経済連携によって、川崎発の「世界スタンダード(標準規格)」が出来上がるのです。企業の規模の大小に関わらず高い技術があれば、ASEANの世界を席巻することもできるのです。ものすごく夢のあるチャレンジだと思いました。
もうひとつは、経済交流というと日本企業が海外に流失してしまうのではないか、との懸念を持たれる方もいらっしゃいます。ところが、実はそうではないのです。ベトナムに進出している川崎市のメーカーでは、ベトナム工場を基点としてASEAN各国などへ販路を拡大し、この現地工場の売り上げが倍増したといいます。さらに、それに伴って日本の市内工場も従業員数が倍増しているというのです。すなわち、現地でも発展し、日本国内の事業所も発展するという、いわば、「海外―国内の同時発展のWIN-WINモデル」なのです。
2015年末には、「ASEAN経済共同体」が発足する予定といいます。ASEANは加盟10カ国の人口規模では合計約6億人、GDPも約2兆ドル超の規模といわれる巨大マーケットとなります。
ASEANとの経済連携は、日本の飛躍、川崎の発展の起爆剤となることは間違いないことでしょう。今回のミッションは、そうしたASEANとの経済面での「絆」を強固なものとする機会をなりました。市内の企業の皆さんの果敢なチャレンジに期待し、応援したいと思います。